この記事のポイント
- 小規模事業者持続化補助金は、「販路開拓」に資する取り組みが対象です。単なる会社概要の更新や機能の無いホームページ（Webサイト）制作は対象外となります。
- Webサイト関連費用を申請する際は、「制作費」「サーバー・ドメインの費用」「集客のためのコンテンツ費」など、具体的な使途を明確にしましょう。
- 採択されるには、「補助事業計画書」に、「Webサイト改修後にどのように売上が向上するのか」を具体的な数値と根拠をもって記載することが最も重要です。
なぜ持続化補助金でWebサイト制作が不採択になるのか？
小規模事業者持続化補助金（以下、持続化補助金）は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援するための制度です。Webサイト（ホームページ）の制作や改修費用も補助対象に含まれますが、「目的」によっては不採択になるケースがあります。
審査で落ちる最大の原因は、その取り組みが「販路開拓」や「売上向上」に結びついていると認められないことです。単なる会社案内目的や、名刺代わりにWebサイトを持つための費用は、原則として対象外です。
【なにを？】Webサイト制作費を補助対象とするための必須条件
持続化補助金でWebサイト関連費用を申請し、採択の可能性を高めるためには、以下の2つの条件をクリアすることが必須です。
1. 「販路開拓」に直結する具体的な機能を持たせる
Webサイトの制作・改修が、明確に売上増につながる施策でなければなりません。具体的には、以下のような機能の導入が求められます。
- Eコマース（EC）機能の導入：オンラインで商品を販売する機能。
- 問い合わせフォームの改善：見込み客からのアクションを増やすための改修。
- SEO（検索エンジン最適化）対策：検索エンジンからの集客を増やすためのコンテンツ（情報の中身）制作や構造の改善。
- 採用に特化したページ：人手不足解消のための販路開拓（人材獲得）に繋がるもの。
例えば、長野県東御市の地元産ワインを取り扱う酒店が、補助金を使ってEコマース機能を導入すれば、これは明確な販路開拓と認められます。
2. 補助対象となる経費を正しく理解する
Webサイト関連の経費で補助対象となるのは、以下の費用です。見積もりを作成する際に確認しましょう。
- 制作・改修費用：デザイン、コーディング（プログラムを組む作業）、システム（例：WordPress）構築費。
- 広告費用：Webサイト公開後のリスティング広告など。
- その他：サーバー・ドメインの取得費（初年度分）、SSL（通信暗号化）設定費用など。
ただし、既に所有しているドメインの更新費用や、汎用的な事務機器の購入費用などは補助対象外となることが多いため、注意が必要です。
【どうやって？】審査を勝ち抜くための事業計画書作成のコツ
不採択の不安を解消するためには、「補助事業計画書」でWebサイト導入による効果を明確に、かつ説得力をもって記述することが不可欠です。採択されるための具体的な書き方のコツを解説します。
1. 現状の課題と目標を具体的かつ数値で示す
まずは、現在のビジネスの課題を明確にします。そして、Webサイト改修によって何を達成したいのかを数値で示しましょう。
- 現状の課題：群馬県高崎市の工業用部品の製造業だが、カタログ販売に頼っており、若年層へのリーチができていない。Webからの問い合わせは年間5件未満。
- 目標：ECサイトを導入することで、Webからの問い合わせを年間30件に増やし、若年層の新規顧客を10件獲得する。
このように、具体的な行動（ECサイト導入）が具体的な成果（件数増加）に結びつくプロセスを示すことが重要です。
2. Webサイトの役割を「販路開拓」に特化させて記載する
計画書では、Webサイトを集客ツールとして位置づける必要があります。「ただ情報を載せる」のではなく、「新規顧客を獲得し、売上を増やすための最前線の営業ツール」として説明しましょう。
例えば、長野県小諸市の地元食材を扱うレストランの場合、「Webサイトにテイクアウト専用の予約システムを導入し、予約受付時間を24時間化することで、店舗の営業時間外の売上を確保する」といった明確な販路開拓の記述が有効です。
3. 見積もりと費用の内訳を明確にする
制作会社から取得した見積書は、経費の内訳が詳細に記載されていることが重要です。単に「Webサイト制作一式」ではなく、「デザイン費」「コーディング費」「サーバー初期設定費」「問い合わせフォームシステム導入費」など、具体的な項目に分けて記載してもらいましょう。
これにより、補助事業計画と経費の使途が一致しており、適切な費用配分であることを審査員に理解してもらいやすくなります。
長野・群馬の制作会社比較サイトからのプロの助言
持続化補助金の申請は、単なるWebサイト制作ではなく、ビジネスプランの策定そのものです。制作会社を選ぶ際は、補助金に詳しいかどうかも重要な判断基準となります。
プロの助言：地域の商工会議所・商工会と連携する
持続化補助金の申請には、事業計画書を作成した後、地域の商工会議所または商工会の確認を受ける必要があります。特に長野・群馬エリアでは、地元の商工団体が、地域の事業者の実情に合わせたアドバイスをしてくれます。
例えば、群馬県前橋市の観光客向け体験サービスの場合、地元の商工会に相談することで、ターゲットユーザー（ユーザー）の動向や、計画書の地域経済への波及効果について、より説得力のある記述のヒントを得られることがあります。
Webサイト制作の発注先となる制作会社も、補助金の採択実績が多い会社を選ぶことで、計画書作成段階から具体的なアドバイスを受けることができます。
まとめ：Webサイト制作の目的を「売上向上」に絞り込もう
持続化補助金をWebサイト制作に活用する鍵は、その取り組みが「販路開拓」に資することを論理的かつ具体的に証明することです。単にきれいなWebサイトを作るのが目的ではなく、「このサイトで売上を〇〇円増やしたい」という強い意思を事業計画書に込めましょう。
採択されれば、Webサイト導入の費用負担が大幅に軽減されます。ぜひこの機会に、販路開拓に繋がる本質的なWebサイト改修を実現してください。
よくある質問（Q&A）
Q1. 既にホームページがありますが、改修費用は補助金対象になりますか？
A. はい、対象になります。既存のホームページの「Eコマース機能導入」「多言語対応」「集客のためのコンテンツ拡充」など、販路開拓に資する改修であれば補助対象です。ただし、サーバーやドメインの「更新料」など、現状維持のための経費は対象外となるため、改修部分と明確に分けて申請する必要があります。
Q2. 自分で作ったWebサイトでも補助金の対象になりますか？
A. 厳密に言うと、補助の対象となる経費は外部に発注した費用が基本です。申請者が自分自身でデザインやコーディングを行った費用は、原則として補助対象となりません。制作会社への発注費用、あるいは外部ライターやカメラマンへの委託費用など、他者へ支払った経費が対象となります。
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