なぜ抽象的なイメージは伝わらないのか?
この記事のポイント
- 抽象的な言葉(おしゃれ、かっこいい)は制作会社とのイメージのズレを生む最大の原因。
- 言語化ではなく「例示」が鉄則。具体的な参考サイトを3つ以上選定する。
- 選んだサイトの「どの要素(色、レイアウト、導線)が気に入ったか」を具体的に伝える。
Webサイトのデザインや機能について、「ざっくりおしゃれな感じで」「なんとなくかっこよく」としか伝えられず、制作会社との打ち合わせで悩んでいませんか?
これは、あなたが悪いわけではありません。デザインのイメージは人によって大きく異なるため、抽象的な言葉だけでは、プロである制作会社のデザイナーも具体的な完成形を想像しにくいのです。その結果、「イメージと違う」という手戻りが発生し、時間とお金のロスにつながってしまいます。
何を伝えるべきか?:イメージを共有する「3つの壁」
制作会社にイメージを伝える際には、あなたの頭の中にある漠然としたイメージを、制作側が理解できる「具体的な要素」に分解する必要があります。この「具体的要素」が、プロの世界で言う「デザインの3要素」です。
具体的な参考サイトを「3つ」用意する
イメージを伝える最も効果的な方法は、言葉で説明するよりも、あなたの求めるイメージに近い既存のWebサイト、すなわち「参考サイト」を例示することです。このとき、最低でも3つの異なるサイトを選ぶことを推奨します。
- 1つ目: 全体の雰囲気、特に色使いやトーンが最も近いサイト。
- 2つ目: レイアウトや写真の使い方、コンテンツの見せ方が優れているサイト。
- 3つ目: サイトの操作性や導線(ユーザーを目的のページへ誘導する仕組み)が良いと感じるサイト。
このように複数のサイトを用意することで、あなたの「おしゃれ」が、単なる色味の話なのか、それともレイアウトの斬新さなのか、という要素を明確に切り分けられます。
✅ プロの視点:例えば、東御市で地域密着型のパン屋さんがホームページを作る際、「前橋市の有名ベーカリーサイトが格好良い」と伝えるだけでは不十分です。そのサイトの「手書き風フォント」が好きなのか、「商品写真の大きさと配置」が好きなのか、を伝えることで、制作側は具体的なデザインの方向性を把握できます。
どうやって伝えるか?:参考にしたい「具体的な部分」を言語化するコツ
参考サイトを選定したら、次は「どの部分が好きか」を具体的に伝えるフェーズです。ここで最も重要なのは、サイト全体ではなく、特定の「要素」に焦点を当てることです。まるで美術品を鑑賞するかのように、パーツごとに分析して伝えましょう。
「デザインの3要素」に分解して伝える
デザインを構成する主要な要素は以下の3つです。これらの観点から「どの部分が好きか」を具体的に指摘することで、制作会社は正確にイメージを把握できます。
- 色使い(カラーパレット)キーカラー(メインの色)、アクセントカラー(強調したい部分に使う色)が、どのように使われているか。
例:「このサイトの白と木目調の色使いは、うちのカフェ(上田市)の店内の雰囲気と合っていて好きです。」
- レイアウトと構成(骨格)情報の配置、文字の大きさ、写真の扱われ方など、画面の骨格となる部分。
例:「トップページの情報量が多くてもごちゃつかないグリッド状のレイアウトを参考にしたい。特に高崎市の企業サイトにあるような、ファーストビュー(最初に画面に表示される範囲)での動画の使い方が魅力的です。」
- 機能・導線(ユーザー体験)お問い合わせボタンの位置、予約システムへの遷移、アニメーションの動きなど、ユーザーがWebサイトを操作する際の体験(UX)に関わる部分。
例:「スクロールしたときの滑らかな動きが好きです。あとは、SSL(通信を暗号化する技術)の安心感を与える認証マークの配置も参考にしたい。」
【実践例】群馬県の企業採用サイトの場合
例えば、群馬県の製造業者が新卒採用のWebサイトを作成する場合、「若者に響くかっこいいサイト」と伝える代わりに、次のように伝えると効果的です。
- 参考サイトA: 「このサイトの黒と赤を基調とした色使いが、弊社の求める先進的で力強いイメージに合っている。」
- 参考サイトB: 「このサイトの社員紹介のページのように、動画を大きく使って、職場の雰囲気をリアルに伝えたい。特に小諸市の求人情報サイトに見られるような、縦長のレイアウトが、スマートフォンで見るのに適している。」
- 参考サイトC: 「このサイトの問い合わせやエントリーボタンが、常に画面下に固定表示されていて、迷わず次の行動に移れる導線設計が良い。」
長野・群馬の制作会社比較サイトが教えるプロのアドバイス
私たちは、長野・群馬の制作会社を比較し、最適なマッチングを支援する立場から、より実践的なアドバイスを提供します。
罠:漠然とした「高級感」「親しみやすさ」は避けよう
「高級感」は、フォントの種類や余白の広さで表現されます。「親しみやすさ」は、丸みを帯びたデザインや彩度の高い色使いで表現されます。これらの抽象的な言葉を使いたいときは、「なぜその言葉を選んだか」という背景を、参考サイトの具体的な要素に結びつけて説明することがプロへの最短ルートです。
独自性:予算と機能の優先順位を伝える
参考サイトを提示する際、「この中で最も真似したい要素は、うちの予算で実現可能か?」という視点を持つことが重要です。参考サイトに搭載されている複雑な機能(例:WordPressを使った予約システム、多言語対応)は、開発コストを押し上げます。どの要素が「絶対に必要」で、どの要素が「予算次第で妥協可能」なのかを事前に伝えておくことで、制作会社はあなたの予算内で最大の効果を発揮できる提案に集中できます。
まとめ:言語化よりも「例示」でイメージを共有しよう
制作会社とのイメージのズレを防ぐ最善策は、言葉による説明から具体的な「例示」へのシフトです。「おしゃれなWebサイト」を求めるとき、あなたの頭の中にある「おしゃれ」を具体的な参考サイトと、そのサイトの色、レイアウト、導線という3つの要素に分解して伝えることで、制作プロジェクトは格段にスムーズに進みます。このプロの伝達術を実践し、理想のホームページ制作を実現してください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 競合他社のサイトを参考サイトとして提示しても良いですか?
A. はい、むしろ積極的に提示すべきです。ただし、「デザインは好きだが、機能やコンテンツは変えたい」など、具体的な希望をセットで伝えることが重要です。競合他社のサイトを単に真似るのではなく、「ユーザー」へのアプローチ方法で参考にしたい部分を明確にしましょう。
Q2. 参考サイトが3つ見つからない場合はどうすれば良いですか?
A. 3つに満たない場合は、Webサイトに限らず、雑誌、ポスター、お店のインテリアなど、「あなたの求めるブランドイメージが表現されているもの」を代わりに提示しても構いません。制作会社は、それらの要素から色使いやトーンといったデザインの根本的な要素を読み取ることができます。
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